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TYSENNのT.Aでございます。


5回目のブログになって突然、重厚なタイトルとなってしまいました。


このブログでは、あまり気難しい話をするつもりではないのですが、最近「モノの価値の本質って一体なんだろう?」なんてことを考える機会があったので、折角なのでブログに残したいと思います。


さて、この世の中では、モノの価値は一体何で決まるのでしょうか。


どの経済学書を開いても、第一章に必ず書いてある基本的概念がありますね。

「モノの価値は需要と供給のバランスによって決まる」と。


勿論そうですが、これはどちらかというと金銭的価値を計る上での有効なメカニズムに過ぎず、実際の「モノの価値」はそんな簡単な話では収まらないですよね。


だって、高級店で売られている100万円の花瓶を買えたとしても、売れ残りだけど気に入って購入した100円の花瓶のほうが、むしろ幸せな気持ちになる人もいらっしゃるわけで。


こんな風に、モノの価値は、ブランド性、希少性、ストーリー性、機能性、情緒性、などなど、様々な要素が複雑に絡み合っていると思います。


ただ、ここで各要素を一つひとつ紐解いていくと日が暮れてしまうので、最近私が行きついた「小さな結論」をここに残しておこうと思います。






『モノの価値は、生身の人間がどれだけそのモノに携わったか、で決まる』






一概には言えないですし、機械で量産したモノが価値が低いと言っているわけでもありません。


でも皆様も普段、画一的に作られたモノより、どこかに「人のぬくもり」のあるモノに惹かれませんか?


花瓶や食器、時計などには勿論全て、それぞれの「機能」が与えられているわけですが、それでは「人のぬくもり」を排除した機能のみを果たすモノだけに囲まれていたいかというと、そうではないはずです。


たた、人のぬくもりは加われば加わるだけ、人件費は高騰し、価格はどうしても高くなります。


輸入販売業を始めると、良く「送料負け」という言葉を耳にします。


100円の商品を海外から日本に仕入れる際、1,000円の送料が掛かってしまうことです。


でもこれって、本当に「負けている」のでしょうか。


「小さい、軽い、割れない100円の商品」なら送料負けはしません。

「大きい、重い、割れる100円の商品」は、どうしても送料は高騰します。


でもこれも、先ほど述べた『モノの価値は、生身の人間がどれだけそのモノに携わったか、で決まる』という視点で考えると、高い送料も納得できます。


だって、それだけデリケートな商品を、配送会社のお兄さん達が、丁寧に、慎重に、真心込めてAからBへ届けてくれるのですから。


そのお兄さんたちの気持ちも、「人のぬくもり」として最終的に一つの商品の中に凝縮されるのだと思います。


つまり我々は、「モノを買うことを通じて、時間を買っている」のかもしれません。その「時間を買うこと」こそが、買い物における何よりもの贅沢なのではないでしょうか。



少し話がズレますが、最近、デジタル・トランスフォメーションの本格到来により、我々の日常生活では、「機能性・効率性」を最優先し、なるべく手間暇をカットして、かしこく生きる、という動きが盛んになっていると感じます。


勿論大切なことです。だだ、それだけで日常生活は本当に豊かになるでしょうか。


例えばオブジェ。我々なぜ部屋にオブジェを置くのでしょうか。オブジェは、時計のように時刻を知らせたり、ルンバのように部屋を自動で掃除してくれたり、空気清浄機のように空気を綺麗にしてくれるような画期的機能はありません。人によってはオブジェを「機能が無く、かさばるモノ」と片づけてしまう方もいるかもしれません。私も昔はそうでした。


でもそのオブジェは、確かに場所を取ってしまい非効率かもしれませんが、そこに置くことで家族との団欒が豊かになったり、心に癒しを与えたり、何か新しい発想に繋がる入り口になったりと、オブジェならではの「機能」があるはずです。


「機能性・効率性」を最優先する動きは、私生活だけでなく、当然ながら各業界にも急速に浸透しています。私が属す百貨店業界も同じです。


でも私生活同様に、「買い物は、楽しみが最優先されるべき」というのが私の持論です。


買い物の面白さは本来、利益や効率性とは相容れないところにあるのではないでしょうか。売れるモノは利益率は低いし、物産展や文化催など楽しいことはコストがかかります。これを非効率だからと切り捨ててしまうと、つまらない買い物になってしまいます。


つまり、「非効率の効率」を突き詰めていくことが、百貨店問わず、今企業にとって本当に求められていることなのではないでしょうか。


だって、世界に眠っている心ときめく商品も、そのほとんどが「非効率なこと」から生み出されているのですから・・・。


Written by T.A