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TYSENNT.Aでございます。



今週に入ってからシャツ一枚だと少し肌寒くなり、百貨店を覗いてみると新作のこっくりカラーのセーターやストールが売場に並び始め、「ファッションの秋」を感じる端境期となってきました。

 

地下鉄に飛び乗るために通過したデパ地下では、炊き立てホヤホヤの栗ご飯の香りが充満し、さっきランチを食べたばかりのはずなのに、不思議とまたお腹が空いてきます。

 

そんな過ごしやすい季節になってきた今日は、前回のブログ「Vo.9 マンション購入について その二」に続き、購入したマンションを「どのようにリノベーションさせていったか」について書いていきたいと思います。



 

やっとの思いで物件を購入し、リノベをお願いする会社が正式に決まると、デザイナーとの初回打ち合わせに向け、営業担当の方から「来週頭を目処にご返送ください!」と「お客様カルテ」と名付けられたホッチキスで止められたヒヤリング用紙を満面の笑みで手渡されました。

 

家に帰り、じっくりと用紙に目を通してみると、リノベに関する約20にも及ぶ質問がビッシリと書かれており、これから進行していくリノベーションの「方向性」を定め可視化する重要な用紙であることが分かりました。

 

 

私はリノベーションをしたいと思った当初から、「パリのアパルトマンのような綺麗目なインテリア」という理想がありました。でも、いざペンを握りその理想を説明しようとすると、そのイメージはとてもフワフワしていて、曖昧であることが分かりました。

 

そこで私はまず一旦ペンを置き、自分の頭の中にある「理想」は一体どこからやってきているのか、を整理することから始めました。

 

インテリアに限らずファッションやライフスタイルでも、「理想」というのは、日常や旅先などで目の当たりにし、心ときめいたモノやコト、すなわち「過去の実体験」から派生することが多いと思います。

 

 

私にとってのそれは、以下でした。

 

 


・ヴェルサイユ宮殿内の「アンジェリーナ」付近の廊下と階段


・インテリアデザイナー「Joseph Dirand」のパリの自宅


Apartment by the line(N.Yのインテリアショップ)


・ラルフローレンN.Y・ウィメンズ本店


American Trade Hotel(パナパにあるホテル)


・ファッショニスタ「Nick Wooster」のN.Yの自宅


・インテリアデザイナー「Timothy Whealon」のN.Yの自宅


・エンツォ・フェラーリ博物館内の「エンツォ本人の社長室」


 

 

でもこれらを書き出した後に分かったのは、「理想の出どころは意外とバラバラであり、更なる絞り込みが必要」ということでした。

 

私は、国籍や様式に囚われない自由なインテリアが好みです。しかしそれはどちらかというとファーニシングやデコレーションの話であり、「全体の箱」についてはコンセプトを明確にしたほうが良いとその時に思いました。

 


 

そこで私が思いついたのが、S.T.Eという考え方です。(あくまで自論)


 


 

Sは「Style(様式)」

Tは「Theme(テーマ)」

Eは「Element(要素)」

 



  

この3つのキーワードを「S→TE」の順番で自問自答し、バラついた自分の理想を絞り込んでいくことで、「理想の整理」がつきます。そして最終的に、STEの合計が「Concept(コンセプト)」となります。

 




3つのキーワードをより具体的に解説します。

 



 

    Style(様式)  〜 インテリアの国籍を定めます

<例>ジャパニーズ、チャイニーズ、バリ、モロカン、フレンチ、スカンジナビアン

 

    Theme(テーマ)〜 国籍とセットになる“形容詞”を定めます

<例>ミニマル、ラグジュアリー、ナチュラル、モダン、アーバン、ホテルライク

 

    Element(要素)〜  インテリアを構成する要素を定めます

<例>素材、カラー、パターン、デザイン、配置、サイズ

 


 


より分かりやすく解説するために、「インテリア」を「特別な日に食べたい料理」に例えます。

 

Style(様式)では、「そもそも何の料理を食べたいか」を問います。和食でしょうか?中華でしょうか?それともフレンチ?

 

次にTheme(テーマ)では、仮に中華を食べたい場合、大盛り中華料理を食べたいか、オシャレ中華料理を食べたいか、それともホテルオークラで食べる高級中華料理を食べたいか、“中華”という単語とセットになる“形容詞”を決めます。

 

最後に、仮にオシャレな中華料理を食べたい場合、そのお皿の素材は?付け合わせの食材の色は?メインディッシュのサイズと配置は?等を決めていきます。

 

 

するとおのずと、「フレンチクラシック」や「和モダン」といったワードが完成し、「その理想を創り上げるために必要な“要素”は何か」というディスカッションが初めてできるようになります。

 

例えば、「モノトーンスタイル」という言葉。確かにこれだけでも意味は十分理解できます。でもこの「S.T.E」に当て込むと、「モノトーン」とはあくまでカラー、すなわち「要素」に分類される単語のため、もし「モノトーン」からスタートするのであれば、「ET→S」という順で「コンセプト」を逆算していく必要があるかと思います。

 

こんなふうにブレイクダウンしていくと、理想が「ストン」と腹に落ちてきます。

 



インテリアやファッション業界では、スタイル、テーマ、コンセプトといった、意味が曖昧な言葉が多く飛び交い、混乱することがありますが、上記を理解しておけば、ブレずに理想を追い求めていける気がします。

 


本日は何だか理屈っぽい内容になってしまいましたが、私は当時こんな風にして自分の理想をコンセプト化していきました。何かの参考になれば幸いです。

 



最後に、私の家のコンセプトは、「フレンチモダン」です。そのコンセプトを構成する「Element(要素)」の部分は話が長くなるので、またの機会に。


 


Written by T.A